アイルランドでのワーホリを通じて知ったメリット・デメリットと1年間の費用について
首都ダブリンでは、暮らしに困ることのない適度な都会感がある一方で、少し足を伸ばせば息を飲むような大自然を満喫できるアイルランド。
現地の人によってはアイリッシュアクセントがありながらも英語が学べる国として、ワーキングホリデーや学生ビザなどで語学留学をする方が増えてきました。
このエントリでは、アイルランドにワーホリビザで実際に現地で暮らした経験からのメリットとデメリットをまとめておきます。
ちなみに僕の場合は、アイルランドで10ヶ月暮らし、そののち2ヶ月間はヨーロッパ圏内で旅をしながらトータル1年間の渡航を終えた。という内訳です。
したがって、メリットとデメリットについては10ヶ月間のアイルランド滞在で感じたものを。
最後には、ヨーロッパ圏内での旅を含めて1年間で使ったお金についてもまとめておきますので、渡航を検討している方にとって参考になれば嬉しいです。
アイルランド渡航のメリットについて
まずはメリットから。8つの視点でまとめましたので、ひとつひとつ解説いたします。
ヨーロッパ圏内では比較的、治安が良い
治安が良いヨーロッパの国として、たびたび挙げられるアイルランド。実際に暮らしてみた実感値としても治安は良いと感じました。
ヨーロッパ旅行にいってアイルランドに帰ってきた友人が、「やっぱりアイルランドは落ち着くわ〜」と口を揃えて言うのには納得です。
もちろん日本と比べてスリ被害の話はよく聞きますが、重犯罪の話はほとんどありません。
自分が男ということもあるかと思いますが、夜11時頃まで飲んでから、家まで30分ほどの道のりを歩くなかでも危険を感じたことはありませんでした。
とはいえ、住んでいるエリアによるのも事実。
たとえば、ダブリンを南北で分けるリフィー側の北側のエリアは治安が悪いといわれています。
夜に押し倒されてカバンを強奪されたという話を聞いたこともあり、住む場所には気を使うべきでしょう。
またダブリンから少し離れたダンドークという街では、2017年に日本人の方が殺害される事件が発生しています。
稀な事例ではありますが、日本以外で暮らすことの危機感は忘れてはいけません。
街中にカフェやパブが沢山ある
首都ダブリンでは特に、カフェやパブが密集しており、外出中の時間つぶしだけでなく
カフェやパブめぐりを楽しむことができます。
個人的なお勧めのカフェとパブについては、下記のエントリにまとめていますので、参考にどうぞ!
●カフェ編
●パブ編
自炊をすれば食費は安く抑えられる
ヨーロッパ圏のなかでは、物価の安いといわれるアイルランドですが、日本と比べれば高いのは言うまでもありません。
とはいえ、スーパーマーケットで食材を買って自炊をすれば意外と安く抑えることができます。
特に肉・野菜・乳製品に関していえば、店舗によっては日本より安い場合も。
個人的に自炊をするときは、週末、大きな鍋に「手羽・人参・たまねぎ・ひよこ豆・キドニービーンズ・トマト缶・水・塩」を入れて1週間分のスープを作って、パンと一緒に毎日淡々と食べる。これで1週間トータルの食費は、10ユーロ前後。
自炊は時間の無駄でしかないと思っているゆえ、自炊を負担なく行うための極端な例ではありますが、もう少しこだわっても意外と食費は高くならないはずです。
芸術や歴史に触れられる文化施設が多い
これは首都ダブリンに限定されますが、美術館や博物館などの文化施設が多いのが嬉しいところ。
たいていの場合は無料で楽しむことができ、個人的にはアイルランド国立自然史博物館はよく行っていました。
以前に、ことりっぷさんの連載でも書きましたが、こちらのフォトギャラリーもお勧めです。
●参考
格安もしくは無料で英語を学べる場所がある
これはアイルランドに限ったことではありませんが、きちんと探せば格安もしくは無料で英語を学べる場所があります。
たとえば、教会での格安クラスや図書館で定期的に開催される交流会のようなもの。
個人的には下記の教会で開催されるものが好きで、たびたび行っていました。
もちろん宗教の勧誘などはなく、気になって「勧誘とかしないの?」と聞いてみたことがありますが、「まあ、興味があれば教えるけど、何を信じるかは人それぞれやんか〜。むしろ仏教とか詳しい?仏教とかアジアのやつ知りたいんやけど。」という感じでした。
●Rathgar Methodist Church
家から徒歩5分の場所にあったこともあり、誰かと話したい時たまに行っていました。
ここはレッスン形式ではなく、近所のおじいちゃん・おばあちゃんが集まってコーヒーを飲んだりクッキーを食べたりしながら、お喋りするのみ。
月・水・金曜の朝10:30〜12:00で行われており、途中で抜けるのも自由。1ユーロだけ箱に入れて、あとはお喋りを楽しむだけ。
お年を召したアイリッシュしかいなくて、ほっこりした時間を過ごせます。
URL: http://rathgarmethodistchurch.com/
●Abbey Street Methodist
こちらはきちんとしたレッスン形式で、曜日ごとに異なる時間帯でレッスンが開催されています。タイムテーブルは、写真をご確認ください。
ダブリンで知り合った友人に教えてもらって以来、好きだったカフェの近くということもあり、よく足を運んでいました。
レッスンはファシリテーターによって進め方が異なり、個人的には木曜18:00〜のOrlaがお勧め。会話の回し方が上手く、いちいち仕草が可愛い女性です。
URL: http://www.abbeystreetchurch.ie/
格安でヨーロッパ旅行ができる
アイルランド発祥の「RYANAIR(ライアンエアー)」と呼ばれるLCCがあります。このLCCが本当に安い。
隣国イギリスや他のヨーロッパへの航空券に関して、往復でも1万円を切るのが通常で、国と時期によっては往復2千円〜5千円という航空券もあるほど。
RYANAIRの存在に関しては、アイルランドを選んだ個人的な理由のひとつ。アイルランドを拠点にすることで、お安くヨーロッパの建築を見てまわることができました。
アイリッシュの人柄は本当に最高
これはもう、お世話になった方みんな最高だったという話なのですが、知り合ったアイリッシュはみんな優しくてフレンドリーでした。
一般的なアイリッシュの人柄は、情に厚く友好的とよくいわれますが、実際の経験からも納得しています。
パブで飲んでいると、たいてい現地の方に絡まれるのですが、そういう出会いも含めて最高でした。
日本人が少ない環境で英語を学べる
近年では留学先として注目されるようになり、アイルランドに来る日本人は増えてきましたが、カナダやオーストラリアに比べてまだまだ日本人が少ないのは、間違いありません。
カナダやオーストラリアに語学留学をしたけれど、学校は日本人ばかりで住む場所は日本人用シェアハウス。あげくの果てに日本食レストランでバイトをして、思っていたほど英語を使うことなく無事帰国。
という話はよく聞きますが、日本人が少ないアイルランドに関しては、上記のようなパターンを避けられる可能性は高いかと思います。
とはいえ、日本人が多かろうが少なかろうが、全ては本人の心持ち次第。そもそも、これをいちばんのメリットとして留学先を決めるのは的外れである、という前提でお考えください。
アイルランド渡航のデメリットについて
ここからは先はデメリット。実際に暮らしてみて感じた、7つのデメリットについて解説します。
アジア人への差別は少なからずある
ヨーロッパ圏内では治安が良いアイルランドですが、アジア人に対する差別はあります。
道を歩いていて「ニーハオ」と声をかけられることや、通りすがりのティーンエイジャーに大声で脅かされること、10ヶ月間で一度だけですが爆竹を投げられたこともありました。
このようなアジア人差別は根深く、語り始めると切りがないため、ひとまず「差別で悲しい思いをすることもある」という事実だけは書いておきます。
正直なところ、心が荒んでいたとき「Fuck off!!!」と叫び返してしまったこともありましたが、将来的に己の行為を恥じてくれる期待を込めて「I'll forgive you.」と返す穏やかさとスルー力を身に付けましょう。
残念な日本人駐在員が結構いる
意外と危険なのは、現地にいる日本人である。ということもあるので、念のため書き残しておきます。
女性の方は特に要注意ですが、日本に家族を残して海外転勤になった日本人駐在員が、右も左も分からない女性渡航者をもてあそぶ。
日本人駐在員だと会社からそこそこ良い家を与えられるので、率直に言うとヤリ部屋を作って、複数の日本人駐在員で女性を連れ込むことがあるようです。
新しい女性とつながるために、毎週ミートアップに参加している日本人駐在員もおり、家族と離れて女遊びをしていることを誇っていた方も。
アイルランドには、こんな恥ずかしい大人もいるんだ!と興味深く話を伺っていましたが、すぐに時間の無駄だと気づき、僕は席を立ちました。
接客が残念に感じられることがある
日本の接客が丁寧すぎることもありますが、アイルランドには移民が多いという背景も関係しています。
アイリッシュの店員さんに関しては、陽気でフレンドリー。付かず離れずの接客が個人的にとても好きでした。
一方で、スーパーマーケットやコンビニなど移民の店員さんに関しては、店員同士で喋りながらこちらと目を合わせることもなく接客を行うということが多く、残念に感じられることが少なくありません。
たいていの場合、ご本人には悪気はなく、残念に感じてしまうこちらの価値観の問題でもあるので参考までに。
基本的には「まあ、日本が過剰すぎるからね。」と済ませてしまいましょう。
ダブリン以外に日常的な娯楽はない
もちろんダブリン以外の街には、観光にうってつけの場所や、ローカルパブがあり、それぞれに素敵な面を持ち合わせています。
しかし、若い方に人気のお店や、美術館・博物館など日常的に楽しめる場所は首都ダブリンに集中しており、ダブリン以外の街は「まあ、一回行けば十分かなあ」というのが正直な感想でした。
何を求めてアイルランドに行くかにもよると思いますが、田舎の風景で羊を眺めながら暮らしたい!という感じでなければ、飽きずに住める街はダブリンに限定されてしまうと思います。
外食費用はやっぱり高い
メリットで、自炊すれば食費は安く暮らせることを挙げましたが、一方で外食費は高いです。
ブリトーやケバブなど学生証を使って安く済ませられるところもありますが、通常だと1食10ユーロ前後かかってしまい、外食に関してはやはり物価の高さを感じるところです。
お財布と相談して自炊と外食を併用しながら、上手く暮らしていきましょう。
部屋探しの難易度が高い
アイルランド国内では家賃が高騰していると言われており、それに加えて部屋の空きが少ないのが現状です。
現地のアイリッシュでさえも部屋探しには苦労しています。
部屋探しのコツと注意点については、下記エントリでまとめましたので、必要に応じて参考にしてみてください。
仕事探しの難易度も高い
部屋だけでなく仕事探しも大変です。特にオフィスで働くような業種だと、難易度はかなり上がります。
英語が堪能でIT系の技術がある方はやはり強いのですが、売りにできる技術がないと希望の職種に就くのは難しいという印象。
仲の良かった韓国の友人に関していえば、かつてヨーロッパの大学でマーケティングを専攻しており英語もビジネスレベルだけど、仕事が無くてアジアンレストランでアルバイトしかできないと嘆いていました。
正直なところ、仕事に関しては運とコネクションが鍵になるのですが、希望の仕事で食べていくのは難しく、資金が尽きて泣く泣く帰国する方も多くいます。
したがって、渡航資金の準備は慎重にされることをお勧めします。
1年間の渡航における費用について
最後に、今回の10ヶ月のアイルランド暮らしと2ヶ月のヨーロッパ旅行でかかった費用についてまとめておきます。
前提として、ほぼ毎日カフェやパブに行ったり、自炊をあまりせずに週の半分くらいは外食をしていました。
ほとんど毎日お酒を飲む、食べたいものを食べる、できるだけ我慢せず節約も特に考えなかった事例としてお考えください。
少しイレギュラーかと思いますが、皆さまの資金計画において参考になれば嬉しいです。なお、全て日本円に換算しています。
渡航前にかかった費用
1,190,710円
備考:6ヶ月間の語学学校、2ヶ月間のホームステイ、海外保険、 日本からアイルランドへの航空券など
10ヶ月のアイルランド生活費
食費(外食含む)
404,883円
カフェ/パブ代
213,321円
家賃
349,483円
備考:光熱費含む
旅費
777,806円
備考:アイルランド国内、イギリス、東欧数カ国をまわった際の航空券や宿泊費、外食費など
その他
688,154円
備考:生活用品や散髪などの生活費、Kindleや現地の本屋さんで購入した書籍、ケンブリッジ検定の受験費用、クラウドファンディングで支援した総額、ダブリンのカレー屋さんでぼったくられた3ユーロなど
お酒を飲んだ後にカレーを食べ続けるなかで遂に好みのラムカレーを出すお店に出会って、本当に美味しいので褒めちぎってたら色々なメニューをご好意で試させてくれて「店員さんまで良い人たちだなあ」と思いながら帰宅して家計簿つけてるときにやっと気づいた。3ユーロぼったくられてるじゃないか。
— 田中 友貴|LINEの建築士 (@y_tanakarchi) 2017年10月8日
2ヶ月間の旅行費用
289,117円
備考:フィンランド2週間、フランス1週間、ドイツ4週間の旅行に伴う航空券や宿泊費、外食費など
1年間の合計金額
ここまでの記載した全ての金額を合計したものが下記になります。
3,913,474円
時期により換算レートの違いがあるので、ざっくりで考えると400万円前後というところでしょうか。
この1年間は我慢をすることはやめようという思いで暮らしつつ、旅行も惜しまなかったので、思いのほか安く済んだなあという印象です。
以上、アイルランドのワーホリを通じて知ったメリット・デメリットと、1年間の費用についてでした。
これから渡航を考えている方にとって、お役に立てば嬉しいです。
ちなみに1年間、僕がどのように暮らしていたかについては、以下のエントリが参考になるかもしれません。