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Architecture & Things

形態は機能に従う。機能性とデザインが共存するプロダクト10選 part2

「形態は機能に従う」という言葉がある。

その言葉に込められた意味、そして本当に良いプロダクトとは何か。ということについて前回は「全力でオススメしたいプロダクトのご紹介」という形式で少し考えてみました。

上記の記事では、常に持ち歩いているものなど、気持ち的に僕の半径5メートルという範囲に位置するプロダクトについて、ご紹介しました。

 

今回は、その範囲をもう少し広げます。

半径15mといったところでしょうか。常に持ち歩くものではないけれど、部屋の中に鎮座していて、僕の暮らしに欠かすことのできないプロダクトです。

したがって、今回は生活用品やインテリア雑貨が中心になりました。

 

前回同様に、僕が声を大にしてオススメしたいモノたちを集めています。

皆さまの生活が、ちょっとでも豊かになる。そんな出会いに繋がれば嬉しいです。

 

YAMASAKI DESIGN WORKS ティッシュボックス

ティッシュの存在価値をがらりと変える。

曲げ加工を施したステンレスパーツに、その両側を閉じる2枚の木製のフタ。それら3つの部材で構成されたティッシュボックスです。

このプロダクトのデザインを手がけたYAMASAKI DESIGN WORKS代表の山崎宏さんは、鼻炎持ちからティッシュを手放すことができないそう。それだけに同氏の手がけるティッシュ関連のプロダクトにはポケットティッシュケースをはじめ、並々ならぬこだわりが詰まっています。

ここでご紹介するティッシュボックスは、生活感溢れる置き型ティッシュの存在を、一気に洗練させられるのとともに、ティッシュの置き方の可能性を広げてくれるものであります。

上の写真のように、テレビラックなどの狭いスペースにも配置することができます。また、ティッシュを横方向へ引き抜くその仕組みのおかげで、本と一緒に本棚に配置することもできるのです。

 

 fitia コロコロクリーナー 

公益財団法人日本デザイン振興会 御中。

グッドデザイン賞にも選ばれた、こちらのコロコロクリーナー。受賞したプロダクトが国内に溢れ、獲ったら獲ったでお金ばかりかかる実情に「グッドデザイン賞はクソ」と豪語している僕ですが、今回ばかりは申し訳ない。こちらのコロコロ、本当にグッドです。

インテリアでいちばん困るのは、掃除道具の配置です。掃除道具とは大抵の場合、いまいちなデザインのものが多く、なかなか表に置けないもの。

シンプルなケースと一帯となったこちらのコロコロは、表に出しても様になります。部屋が汚くなる多くの原因は、掃除道具がすぐ手の届く場所に配置されていないことです。しかし、気兼ねなく部屋に置いておけるこちらのコロコロを導入することで、身近なところにコロコロを配置でき、結果あなたの部屋が綺麗になるはずです。

コロコロの取り出しと格納に合わせて、開閉するケースのフタも魅力的です。シンプルながらもストレスを軽減させてくれるギミックに僕は毎度興奮しています。

 

Seiei タイハンガー

せめて、美しく仕舞いたい。

時代の流れとともに、まとう機会が少なくなりつつあるネクタイ。個人的にも、ネクタイと呼ばれる細い布を首に巻くという文化、そしてそれで礼儀作法が少なからず問われる風潮自体が無駄でしかないと感じていますが、日本のサラリーマンとしてはやはりまだまだ手放す事ができないアイテムでもあります。

そんなネクタイを少しでも気持ち良く収納できるハンガーが、こちらです。

金具部分は落ち着いたマット調。ネクタイ一本一本をかけるセンスのないハンガーではなく、まとめてネクタイを掛けられる画期的な方式を採用しています。

そのシンプルな形状がゆえに、ネクタイだけでなくベルトやカバンも引っ掛けることもできます。

 

Blue Lounge ケーブルボックス

人類 vs. 配線、ここに終結。

昨今、デザイン性の高いインテリア家電が増えてきましたが、唯一進歩しないのは「配線コードがあること」です。お洒落な家電でハイセンスな部屋を構築していても、壁際や棚の脇に少し目をやれば、ナンセンスな配線コードたち。

見た目の悪さはもちろん、配線の束はホコリだまりとなり、衛生面でも良くありません。

そこで、配線コードをまとめて見た目にも衛生的にもすっきりさせてくれるBlue Loungeのケーブルボックスです。色は黒だけではなく、種類が豊富であるためどんなお部屋にも合わせることが可能です。

当初Blue Loungeが発売した商品を皮切りに、いろいろなタイプのケーブルボックスが発売されており、今ではヒノキで作られたものもあります。「ヒノキって・・・、たかがインテリア用品に、そこまでこだわる必要ってあるんでしょうか。」

お前が言うなと突っ込まれそうです。

 

大木製作所 スポンジキャッチ aguua

水はけを考慮した断面形状。

お皿洗い用のスパンジの配置には、悩みが尽きないもの。水が切れないからシンクに直置きすることはできず、通風が必要であるため仕舞うこともできない。

そうして行き着くのがスポンジを掛けておくためのアイテムです。個人的にいちばんオススメなのは、シンクに備え付けられたラックから無印の洗濯バサミで吊ることですが、備え付けのラックがなければそれは叶いません。

その場合は、スポンジキャッチが必要になるのですが、僕がオススメしたいのは大木製作所さんによるもの。

ステンレス製のため衛生面やサビについては問題なく、特筆すべきは素材の断面形状。その断面は正円ではなく流線型を描いており、それにより素材自体に水がたまる箇所が少なくなります。同時に、スポンジを引っ掛けることがスムーズに行う事ができるメリットも。

小さな世界に詰め込まれた、大木製作所さんの知恵。こういうこだわり、個人的に大好きです。

 

la base 水切りかご

ありがとう、東京のお母さん(2人目)。

イタリア語で基本という意味を持つla baseというフレーズを掲げたこのブランドは、料理家・有元葉子さん監修のもと多くのキッチンウェアを世に送っています。 なかでもシンクの大きさに合わせてて大きさをチョイスできる、水切りかごはまさに傑作。

繊細な見た目からは想像できないほど頑丈に作られており、特に骨格にあたる材料と、お皿を受け止めるためのワイヤー部分との点溶接部分については、あまりに見事で興奮を隠す事ができません。

また、溶接部分がしっかりしていることにより、接合箇所が少なくなりその結果、汚れや水が溜まるポイントが少なくなっています。新潟県は燕市の職人さんによって作られており、日本の確かな技術が詰まっているのです。

大きな鍋などの重量物を載せても全く問題なく、長きに渡って使用できる堅牢さを兼ね備えているのでコストパフォーマンスは極めて高いと言えるでしょう。

一人で初めて上京したときに購入した料理本が有元葉子さんのものであるため、勝手に東京のお母さん(2人目)と呼んでいます。すごく自然に、勝手に呼んでいます。

ちなみに、東京のお母さん(1人目)は新卒で入社した会社の寮にいらっしゃった寮母さん。とんでもなく美味いご飯を作ってくださる方でした。

 

STAUB ココット・ラウンド

その日、我が家から炊飯器が消えた。

いわゆるお洒落鍋といわれるSTAUB社製のラウンド鍋。今もなおフランスの伝統的な製造方法でつくられており、例えばパーティーなんかで鍋のまま料理を提供できる鍋自体のデザイン性の高さがあります。

もちろん機能面でも優れており、鍋蓋の裏に設けられた「ピコ」と呼ばれる突起が、内部の水分循環を良くし、食材に対し偏りなく水分が降り注ぐように工夫されています。

似ているところでルクルーゼのものもありますが、先に述べた「ピコ」がないのと、ガシガシ使うには少し躊躇してしまうような仕上げが気になるため、個人的にはSTAUBを推します。

ちなみに、我が家ではSTAUBの鍋でお米を炊いています。鍋でお米を炊くのはハードルが高いように思われますが、これが意外と簡単。その簡単さを身を以て知った瞬間、炊飯器は電光石火で廃棄しました。

 

PRISTINE リネンコットンガーゼケット

赤ちゃんだけだと、誰が決めた。

オーガニックコットンの取り扱いに長け、レーディースウェアやベビーウェアを展開するPRISTINE社によるガーゼケット。 通常のタオルケットと異なり、オーガニックコットンとリネンを用いた3層のガーゼ素材で成り立つ逸品です。

肌触りは申し分なく、夏の暑い時期にこれ一枚かけて寝れば、なんとも快適。ガーゼ素材による通気性と適度な保温性で、気持ち良く眠ることができます。

その確かな性能と優しさから、赤ちゃんのおくるみとして使う方も多いと店員さんから伺いましたが、いやいや勘弁してください、そんなの僕がくるまれたい。「親戚の赤ちゃんへのプレゼント」と言いつつ購入したのに、自らが年中くるまれているのは紛れもなく僕です。あの時、恥ずかしくて嘘をついてしまった僕をお許しください。

ひとつ、真面目な話もしなくてはいけません。ふわふわのガーゼ素材は、通気性の良さから夏にもってこいなのは言うまでもありません。特筆すべきは、素材自体に空気を含むスペースがたくさんあるため、保温性にも優れていること。

例えば、冬場に毛布の代わりにガーゼケット、さらにその上から掛け布団を掛ける。すると空気を含んだガーゼケットが断熱性を発揮し、体の熱を外へ逃がしにくくなり、冬の寒さ対策にも使えます。「年中使える」理由はここにあるのです。

 

KTC ラチェットドライバーDBR14

電動ドライバーまでは要らないけど、それに値するドライバーが欲しい。

贅沢な要求ですね。でも安心してください、ちゃんとあります。KTCこと京都機械工具さんによるこのドライバー。

お尻のキャップをはずすと、国内に存在する大抵のネジに対応したプラス・マイナスの先端パーツが格納されています。ガトリングガンを思わせる格納部分のその様は、男心そして一部の女心も掴むはず。

そして、持ち手の部分で切り替えができるラチェット機能。

通常、ドライバーは1回ネジを回すごとに、ドライバーとネジを一旦離し手首を返す必要がありますが、ラチェット機能によりその必要がありません。ネジからドライバーを離すことなく、ネジを回し続けることができるのです。これを使ってしまうと、普通のドライバーには絶対に戻る事ができません。

数あるラチェットドライバーのなかでも、KTCのものはデザイン面でも申し分がありません。観賞用としても一家に1本、是非どうぞ。

 

simplehuman ダストボックス レクタンギュラータッチバーカン

厳かなモノリス、頑丈すぎて7年目。

デザイン性と機能性、そして堅牢性を併せもつアメリカ発祥のハウスウエアメーカーによるダストボックスです。現代美術館に展示されてもおかしくないほどの、傑作アーティファクトと言っても過言ではありません。

僕は捨てるという行為が好きです。具体的に言うと、家事にしろ創作にしろ何か1つの仕事が終わったとき、不要なものを一切合切捨てられる瞬間が大好きなのです。その行為自体をさらに気持ちの良いものに昇華させてくれるのが、こちらのダストボックスです。

指紋のつきにくい仕上げのステンレスの躯体は、シンプルなデザインであり、無駄の無い開閉機構はどれだけ雑に扱っても壊れる気配がありません。上京してすぐに買ったものなので、気づけば7年目。

ちなみに僕が使っているのは、足でバーを踏むタイプのひと昔前のモデルなのですが、腰や手で開けられるこちらのタイプが断然オススメです。

光を鈍く反射する、表面の仕上げ。美しさが過ぎます。

本当のことを言うと、今のモデルから今回ご紹介した最新モデルに買い換えたいのですが、その堅牢さゆえに今のものが壊れる気配がありません。

インテリアショップで最新モデルを見かけては、何度も開閉してその良さを確認していますが、買い換えられることはしばらく無いでしょう。

 

機能性とデザインが共存するプロダクトとは、長きにわたり持ち主に寄り添ってくれるものです。

 

それはデザインの良さから長く愛されることの他に、高い機能性はシンプルな機構とともにあることが多い。それゆえに壊れることがほとんどない。そんなところが長く寄り添ってくれる所以でしょうか。

 

今回のご紹介を通して、皆さまの生活が少しでも豊かになるような、なんだかそんなことにつながれば僕は嬉しいです。

 

part1はこちらからどうぞ。

こちらは番外編。

渡航後に書いたprat3はこちらです。