形態は機能に従う。機能性とデザインが共存するプロダクト10選 part1
【2017.6.5更新】
「形態は機能に従う」という言葉がある。
かつて、アメリカで活躍し、今日ではアメリカ三大巨匠のうちの1人とされる建築家 ルイス・サリヴァン。
彼が残したこの言葉は、デザインと機能性との密接な関係を示しています。デザインの世界で今もなお、語られるこの言葉には「機能性を求めれば、おのずとそれは良いデザインになる」という思想があるのです。
しかし、機能性を追求すれば、必ず良いデザインに到達するかと言われれば、そうではない。どちらかを求めるあまりに一方が満たされていない、ということが少なくありません。(多くの場合は、むしろ共倒れしている)
ということで、今回は超個人的見解により、機能性とデザインが見事に共存しているプロダクトを10個ご紹介させて頂きます。なにか、皆さまの実りある生活につながれば幸いです。
今回は、文具や日用品など、身の回りの細かいプロダクトについてご紹介します。
part2はこちらからどうぞ。
こちらは番外編。
海外渡航後に書いたpart3はこちらです。
コレクト 情報カード(無地・5×3インチ)
これほど利口に働くメモは、他にない。
一時期、TOEIC対策に使えるなどで流行った「情報カード」。個人的には、アイデアメモや、その日のToDoを記載するのに多用しています。
コレクト社製のものは紙質が硬めにつくられていて、これ一枚をポケットに入れて突発的なメモや、仕事をひとつ終えれば、書き込んでおいたToDoに横線をシャっと引く。などなど。
アイデアメモとしては、情報カードに書き出して、それをストックして見返す。複数枚を広げて時系列に並べる・別のアイデア同士のつながりを発見するなど、使い方は無限大です。 情報カードは、日常生活から切り離せないほど愛用しています。
情報カードの使い方については、以前に読んだ、松浦弥太郎さんの著書で知ったと記憶しています。
手帳のポケットや、モレスキン ポートフォリオに整理して持ち歩いています。
ロンド工房 カードリッジ エア
これに救われた窮地、数知れず。
名刺が5枚ほど入る、紙製の超薄型名刺入れです。さっと、顔を出して挨拶するときなど、名刺入れをついつい忘れることって多いんですよね。
そういうとき、これを手帳や財布に忍ばせておくと、名刺をスマートに出すことができます。紙製でありながら、手を抜かないデザインも、さすがといったところ。
個人的には、通常の名刺入れのサブ的に使用していますが、安心して名刺入れを持ち歩かないことのほうが多いので、むしろメインと言ってもいいかもしれません。
ちなみに合皮でつくられたカードリッジ デュンというシリーズも出ており、今はそちらを使用しています。
ぼくは、どんな場所・場面においても手帳を手離すことはないので、手帳にそっと忍ばせています。
FABER-CASTELL エモーション ペンシル
クリエイティブを刺激する、シャープペン。
FABER-CASTELLというドイツの筆記具メーカーによる名作シャープペンです。1.4mmという絶妙な太さにより使い方は無限大。
個人的には、同じ形状のボールペンも使っていて、どちらもスケッチだとかアイデアメモを行うときに多用しています。
LAMY 4色ボールペン 2000
親友といっていいほどの、付き合いの深さ。
同じくドイツの筆記具メーカーLAMY(ラミー)社製の4色ボールペンです。40年の時を経て今もなお、名作と言われ続けている逸品。
初めて手にしたのは高校二年生のとき、ミスドのバイトで貯めたお金で購入して以来、ずっと修理して使い続けています。多色ボールペン独特の、色を変えるときの音がなく、ここまで美しい4色ボールペンは他にありません。
使い込むにつれて、ボディのヘアライン仕上げに艶が出てくるのも、たまりません。
なぜか弟から、2本目をプレゼントされました。
工事現場に顔を出すときなんかでもガシガシ使っており、たまに壊してしまいます。そこで、修理に出しているときの代打として2本目を使うことができるので、結果的に助かっています。
ZENITH ステープラー
使うたびに全身を駆け巡る、快感。
イタリアのパルマ社が展開するZENITHというステーショナリーブランドのステープラー。ここまできたら、もはや変態。だって、ステープラーなんて無印で買ったらいい。
しかし、このステープラーのいちばんの特徴は、とじる時の「ガッチャ」という音と感触です。これがとっても快感なんです。文章では表現しきれないほどに。
紙をとじるという行為のたびに、そんな快感を味わうことができる。これを握ったその日から世界が変わるはずです。
ちなみに、200発分の針を充填することができます。個人的には、針を充填するギミックも好きなので、敢えて針を少なめにしています。
ここまで来れば変態を超えて、もう悟りを開いたようなもんです。
快段目盛 三角スケール
今世紀最大の発明、階段状に表示された目盛り。
建築や不動産業界では欠かせない三角スケールです。快段目盛とは、うまいことを言うもんです。
階段状になった目盛りは「なぜ今まで誰も気づかなかった」というほど読み取りやすく、一度使って頂ければ、今世紀最大の発明というフレーズも大げさでないことが、お分かり頂けるはずです。
上記記事でも、ご紹介をさせて頂いております。
作り手は、新潟が誇る工具メーカー「新潟精機」さん。個人的には黒地に白文字が、いちばん見やすくて、オススメです。
ちなみに、通常の定規もあります。
ミリセカンド アルミメタルメジャー
金属削り出しの小さなボディはもはや、芸術。
手にとった時の、ちょうどよい重みがたまらない、小型のメジャーです。ちょっとした家具や、曲面を測りたいというとき、このメジャーが大活躍します。現場でガシガシ実測、というシチュエーションでなければ、大抵このメジャーひとつで事は済むでしょう。
目盛りテープ部分は想像以上に柔らかいため、アパレル業界でご活躍されている方にもオススメです。黒色のラインナップもあり、そして、黒色もまた痺れる格好良さです。
鍵や靴ベラと一緒にまとめることができる、コンパクトさ。そして、デザイン。
Clipa バッグハンガー
貴方のカバンに、愛を。
カフェのカウンター席や、立ち呑み屋さん。持っているカバンの置き場所に困るということが、意外と多くあるかと思います。そして、そういう時に限って、床がものすごく汚い。
そんな場面で使えるバッグハンガーです。機能に忠実で、シンプルなデザインが特徴。さらに、耐荷重が15kgまでなので、かなり重い書類の入ったカバンでも難なく使うことができます。
引っ掛け部分には、滑り止めがしっかりと付いていています。そのため、椅子の背やテーブルの天板にも引っ掛けることができる、本当に優秀なバッグハンガーです。
いつもこんなセットで持ち歩いています。先に紹介したアルミメタルメジャーとの相性も抜群です。
Clipaバッグハンガーの真骨頂。 pic.twitter.com/Jw5qKp3onT
— 田中 友貴 Yuki Tanaka (@y_tanakarchi) 2017年6月5日
ウィーン空港のトイレでのひとコマ
このときは改めてClipaのありがたみを実感しました。海外旅行の際は食事中などで手元近くのテーブルに掛けておけたりも可能。旅行時の荷物の重量にも難なく耐えてくれて本当に心強いプロダクトです。
kershaw ツメキリ リーフタイプ(革ケース付)
精密技術の詰まった、ツメキリ界のトランスフォーマー。
カミソリなどの刃物を広く扱う老舗メーカー「貝印」さんによる、非常に薄くコンパクトに折りたたむことができるツメキリです。あまりにコンパクトで、ペンケースなんかにも容易に仕舞うことができます。
金属のパーツを精巧に組み合わせたボディは、気持ち良いくらいに綺麗に折りたたむことができ、日本の金属加工技術の底力にため息が出ます。トランスフォーマーを彷彿とさせる、ツメキリへの変形シーンは、男性ならば悶絶必至。
そして、女性にもやさしいシンプルな構造には、貝印が長年で培ったプロダクトデザインの知恵が詰まっています。
個人的に、サカムケが多く、気づいたときにちゃちゃっと処理したいときに大活躍しています。リアルに手放せないやつです。
絶対にオススメなのは、革ケース付。参考までに、折りたたんだときの大きさは、親指くらいです。
高級耳かき JIJI
形態は機能に従い、そして、快楽へといざなう。
買ったのは、初めてのボーナスで。付き合うこと早7年、これほどまでに心から「手に入れて良かった」と思っているプロダクトは、他にありません。
美しく、そして、掻き心地も申し分ないこの耳かきは、作家・金澤友里恵さんによるもの。
かつて、時計職人でもあった彼女のお祖父さんが、真鍮から作り出し、友里恵さんにプレゼントしたという一本の耳かき。
その宝物のような耳かきを、友里恵さん自らの手で再現し、製作された逸品です。
ゆっくりと一本一本丁寧に製作されており、売り切れることもしばしば。少ないながらも、今はまだ在庫があるようです。
もしも、リンク先の在庫が切れてしまっていたときは、ごめんなさい。 気長に待ってください。
タモ材と真鍮で作られたケースもまた、美しさを放っています。その耳かきを仕舞う行為は、言うなれば、居合刀を丁寧に鞘におさめる所作。
機能性とデザインが共存するプロダクトとは、それを扱う所作まで美しくなるのです。
まだまだ挙げたいところですが、今回はここまで。
今回のご紹介を通して、皆さまの生活が少しでも豊かになるような、なんだかそんなことにつながれば、僕は嬉しいです。
part2はこちらからどうぞ。
こちらは番外編。
海外渡航後に書いたpart3はこちらです。