無垢材の木製家具お手入れ方法とお勧めのメンテナンスオイルまとめ
木材で作られた家具は、定期的なメンテナンスが必要です。
冷暖房の使用に伴う表面のカサつきや、作業や食事など日常の使用による汚れをお手入れすることにより、木製家具を長持ちさせられます。
テーブルや本棚など大切な木製家具と長く付き合っていけるように、きちんとお手入れをしましょう。
お手入れの方法は、それほど難しいものではありません。
このエントリでは、具体的な手順と必要な道具、お勧めの家具用オイルを紹介します。
はじめに知っておきたい、木材の仕上げについて
木製家具の表面の仕上げは大きく「ポリウレタン仕上げ」と「オイル仕上げ」の2種類にわかれます。
まずは、それぞれの仕上げの特徴についてご説明します。
ポリウレタン仕上げ
木の表面が、ウレタン樹脂でコーティングされている仕上げです。
このエントリで紹介しているお手入れ方法は、ポリウレタン仕上げの家具には適しませんのでご注意ください。
ポリウレタン仕上げは、ウレタン樹脂の硬い膜が気の表面を覆っていることで、汚れがついても拭き取りやすいメリットがあります。
一方、長年の使用によりウレタンコーティングが剥げてしまうことがあり、その際は工場などで特別な補修工程が必要になります。
見た目としては、ウレタンコーティングにより木の表面がツルっとしており、木そのものの風合いは薄くなります。
オイル仕上げ
オイルフィニッシュとも言われ、いわゆる「天然の木の風合い」がしっかり感じられます。
ポリウレタン仕上げよりも汚れはつきやすいものの、この後に解説するお手入れ方法により、何十年もきれいに家具を使い続けることができます。
自然由来のオイルを木の表面に薄く伸ばして馴染ませているのが、オイル仕上げの特徴です。
木の表面には薄いオイルの膜ができるのみ。木目の凹凸を触って感じられ、天然の木の風合いを楽しめます。
一方、木の表面に傷がつきやすかったり、水滴などを放置するとシミになったりと、デリケートな面もあります。
木の家具が特に好きな方は、この「オイル仕上げ」の家具を選ばれていることが多いのではないでしょうか。
しっかりと木の風合いを楽しめる「オイル仕上げ」ですが、家具を使い込むうちにオイルが抜けてゆき、撥水性が弱まったり、表面がカサついたりします。
きちんとお手入れをして、できる限り長く付き合っていきましょう。
お手入れといっても、頻繁に行う必要はありません。また、大変な作業を行うわけでもありません。
お手入れのペースは、1年に2回程度。冷暖房をガンガン使った季節の変わり目、木肌のツヤが無くなってきたかな…と感じる4月と10月あたりがお勧めです。
以降は、お手入れに必要な道具と具体的な手順を解説します。
お手入れに必要なもの
紙ヤスリ
このエントリではかなり目の細かい#800という品番も使いますが、#800を含まない上記の紙ヤスリのセットで十分かと思います。
木片(もしくは、ヤスリホルダー)
このエントリでは、紙ヤスリを巻きつけるためにハンズで購入した木片を使用しています。
家具用オイル(ケンドリンガー メーベルポリチュア)
お勧めは「ケンドリンガー メーベルポリチュア」と呼ばれるドイツ製のオイルです。
オレンジの成分が含まれており、作業中にふわっと漂う柑橘の香りがたまりません。心からお勧めの逸品です。
オイル塗布用の布
家具用オイルを塗るために適当な布を用意しましょう。
シャツの切れ端などで構いませんが、個人的には理系学生の思い出の品「キムワイプ」のタオル版こと「キムタオル」推しです。
手順1 片付け
全ては場を整えることから始まります。作業がしやすいように片付けをしましょう。
このエントリでは、写真のテーブルを使って木製家具のお手入れ方法を解説します。
手順2 ヤスリがけ
次に、木の表面の汚れを取り除き、滑らかにするためにヤスリがけをします。
使用する紙ヤスリは「#240, #400, #800」の3種類。数字が小さいものほどヤスリの目が粗くなります。
目の粗い紙ヤスリから順に、テーブルの天板を磨きましょう。
天板の上には、目に見えないものも含めてたくさんの汚れが付いています。ヤスリがけで、その汚れを落とします。
目の粗いヤスリ→目の細かいヤスリの順で磨くことによって、「木の表面が整い、最後に塗るオイルが馴染みやすくなる」効果があります。
木片に紙ヤスリを巻きつけるとヤスリがけの作業が楽になります。
木片はハンズなどで売っていますが、木片でなくても冒頭で紹介したヤスリがけ用のハンドサンダーがあればさらに作業が捗ります。
最も目の粗い#240で天板をまんべんなく磨きました。
紙ヤスリには、汚れとともに細かい木の粉が大量に付いています。
木粉は床にも落ちますので、あらかじめ新聞紙などを敷いておくと良いでしょう。
ちなみに僕は、気にせず床に落としてしまい、最後に掃除機がけをしています。
#240→#400→#800の順にヤスリがけを行いました。木の表面は、木粉が浮いて白っぽくなっています。
木の表面を触ってみると指に粉が付くのと同時に、天板の汚れや傷がなくなり表面がツルツルになっているのが分かるかと思います。
なお、ヤスリがけを行うときは、木目の方向に沿って行うということをお守りください。
手順3 水拭き
天板に付いた木粉を取るために、固く絞ったふきんで水拭きをします。
水拭きをした直後は一旦、写真のように綺麗になりますが…
水分が乾いてくると、再び木の表面が白っぽくなってきます。
この白さは、木粉がまだ残っているわけではありません。
ヤスリがけにより木の表面が薄く削り取られて、オイルで保護されていない木肌があらわになったためです。
人の肌で言うならば、洗顔をしたあとに化粧水や乳液をつけずに放置してしまっている状態です。
次の手順で、あらわになった木肌にオイルを塗ってあげましょう。
手順4 オイルがけ
いよいよ最後の工程、オイル仕上げです。
家具用のオイルには色々なものがありますが、お勧めは冒頭で紹介した「ケンドリンガー メーベルポリチュア」というもの。
革製品のメンテナンスオイルなどを展開するTAPIR(タピール)社製のもので、オレンジの成分が配合されているのが特徴です。
作業中に漂うオレンジの香りが素晴らしく、お手入れ後の家具からふわっとオレンジの香りがするのが幸せすぎて長く愛用しています。
メーベルポリチュアを適当な布に付け、天板全体に馴染ませてゆきます。
布については特にこだわることはないですが、目が細かく柔らかいものが扱いやすいかと思います。ふきんやシャツの切れ端なんかで構いません。
オイルが全体に行き渡りました。
天板全体がつやつやしてきたら、ひとまず休憩。
オレンジの香りに包まれながら、15分ほど読書でもしましょう。
もしオイルを余分に塗ってしまった場合は、オイルが表面に浮いてきます。浮いてきた余分なオイルはから拭きしましょう。
なお、オイルが浮いていなくても、この15分後のから拭きは行ってください。から拭きを最後に行うことでオイルの馴染みが良くなります。
以上で、お手入れは完了です。
最後の片付けの際は、オイルを染み込ませた布の取り扱いにご注意ください。
オイルを含んだ布に太陽光が当たることで、自然発火する恐れがあります。
自然発火は滅多にあることではありませんが、布を捨てるまで水に浸しておく、光を通さない袋や容器に入れて捨てるなどの対策をしておけば完璧です。
*****
木製家具は、生きています。
家具という役目を果たしながら、木肌のカサつきや汚れでお手入れの必要性を訴えます。
定期的なメンテナンスを通じて、大切な家具とより長く付き合っていきましょう。
最後に、今回のお手入れで使った道具をまとめておきます。
紙ヤスリ
木片(もしくは、ヤスリホルダー)
家具用オイル(ケンドリンガー メーベルポリチュア)